カズ流、ど素人店舗設計その2

まず、人は 入ろうとする店舗が進行方向の右側にあった場合 中央に遮蔽物があったときに
どちら側に移動するか・・・?
又、逆の左側にあった場合は、どうするか?

答えは両方とも時計周りをすることが多い。
要は、店舗に向かって左側から巡っていく傾向が強いのである。

これは、私の本当に独断と偏見の意見なのでなんら科学的な根拠はない。
ただし、この判断は正しかった。
実際、お店に来られるお客様はどちらの方向から来られても一様に中央から向かって左側から店内を巡るのである。

お風呂の栓を抜いた時の現象のように?
南半球と北半球では違うのかな(??)

だから左側のカウンターには、お手ごろ価格の物から順に並べるように設計した。
いきなり1000万円のオパールを展示していたらそのまま一周して出て行かれてしまうだろう。

周りの一般ジュエリー店は 店舗入り口に向かってコの字型やL字型のカウンター方を作り
壁をはさんでコの字、L字の周りに店員を配すというのデザインが多い。

それでは店員が顧客を監視したり取り囲むという状況になる。
そういう心理的な圧力を感じる店、まして宝石という高価なものを扱っている店には どんな人でも よほど意を決してはいらないとはいりづらいのではないかと考えた。

「オパールという美しい石ってどんなもの?」
「別に買うつもりはないのだけれど せっかくオーストラリアに来たのだから後学のために見ておこう。」
そういった顧客にも気軽にはいって来てもらえるお店は どんな店だろう。

そう考えたとき、「入り易いお店」というのはイコール「出て行き易いお店」なのだという答えが見つかった。

要は、店員が顧客を取り囲まないこと。
それにはどうすればいいか。
逆に店員が顧客に囲まれれば良いのである。

店舗が長方形なので楕円のカウンターを中央に設置した。
スタッフはその楕円の中に収まっている。
そして入り口のど真中という常識はずれの場所に、オパカズの象徴と言える30cm直径の金の柱。
この柱の意味は、とおりがかるお客さまとスタッフがすぐに目が合わないようにと
いう配慮の為である。

誰でもはじめてのお店に入るとき、それなりの遠慮や逡巡があるものだ。
はいろうかな?と思ったとき、いきなり内部の店員と視線がバッチリあってしまったら?

果たして・・・
これは、シャイな日本人だけに限らず人間みんなに通じることであると思う。

又、じっくり腰をかまえていい品物を吟味しようとする顧客が落ち着けるように 外から死角になる意味もこめた。

さて、次なる課題は・・・
それはいかにして顧客の目をひきつけるか?ということにあった。

ジュエリー店といえば、高級感というのは定番のイメージである。

朝から晩まで建築物の写真集をめくり ああでもないこうでもないと思いを巡らせる。
なんの経験もない素人の私にとって 創作することは本当に苦しい。
自分で机上でデザインして作らせたものがいざ実際にできあがってみたら とんでもないものになっているかも知れないではないか?

実際には見たこともないベルサイユ宮殿のイメージを出してみよう。
イメージカラーを「金色」&「深紅」と決めるのはずいぶん決断力を要した。
無難なベージュや大理石系を選べば 先例もいくらでもあるわけで失敗はない。

オーストラリア人ビルダーに ここは、この金色でとサンプルを指し示すと 目を丸くされる。
あげくは「ふーむ・・」と さりげなく「反対!」を示唆される。
製作途中を視察に行けば、ずいぶん控え目な色に塗られている。
「ノー! こんな渋い色では駄目、もっときらびやかに!」

製作所に何度も足を運び、次第に形をなしていくオーナメントやカウンターの数々。
木屑やペイント粉にまみれた工場内で常識を超えた色を呈して浮き立っている私のデザイン。
もう あと戻りはできない。

不安は募る。

見に行く勇気がなく 設置の日は夫に任せ 自宅待機。

・・・「うんなかなかいい感じ」と電話をもらった。

天井を彩る金色のコーニスや スワロブスキーのクリスタルシャンデリア、紅い絨毯にそれらが映えて美しい。これぞ自画自賛。

大成功!!!

カズ、オパール買い付けに砂漠へ